[監修]
佐賀大学医学部 内科学講座 消化器内科教授 江﨑 幹宏 先生

潰瘍性大腸炎は、大腸に炎症が起こる病気です。炎症が起こると、大腸の粘膜がただれる「びらん」や、粘膜がはがれた状態の「潰瘍」を生じます。患者さんの多くは、炎症などの症状が強まる「活動期」と症状が落ち着く「寛解期」をくり返すことがわかっています。

現在、日本には潰瘍性大腸炎の患者さんは約22万人いると報告されています
潰瘍性大腸炎の正確な原因はまだわかっていませんが、遺伝的な要因や環境的な要因が複雑に絡み合って、腸管に免疫異常を起こしていると考えられています。

*Murakami Y, et al.: J Gastroenterol, 54(12):1070-1077(2019)

症状の経過と粘膜の炎症

※病気の進み方や症状は個人差があります

症状の経過と粘膜の炎症(イメージ図)。出典:鈴木康夫 IBD research 8,3: 207-210(2014)より改変
活動期の主な症状:腹痛、頻回の下痢、血便
潰瘍性大腸炎は、基本的に直腸(腸の最も肛門に近い部分)から口側へと粘膜の炎症が広がっていきます。炎症の程度により、びらんや潰瘍、出血などがみられます。
粘膜治癒を達成すると、長期間にわたる症状の安定が期待できます。
  • 寛解(炎症などの症状が落ち着いていた状態)の状態が長く続く
  • 入院や手術が必要ない状態を保てる
  • 生活の質が高まる