[監修]
社会福祉法人聖母会聖母病院皮膚科部長 小林 里実 先生

掌蹠膿疱症とはどのような病気ですか?

掌蹠膿疱症は、手のひらや足のうらに、水ぶくれ(水疱や膿疱)が繰り返しでき、長期的に良くなったり、悪くなったりを繰り返す慢性の病気です。水ぶくれの中は無菌性で人に感染することはありません。
掌蹠膿疱症の方では、免疫作用として外敵から体を守ってくれるはずのサイトカインという物質が過剰に働いていることが分かっています。発症年齢は40~50歳代で、男女比は1:2で男性に比べ女性がやや多くなっています。

手掌(しゅしょう。手のひら)・足蹠(そくせき。足のうら)に膿疱ができるため掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)と呼ばれています。

掌蹠膿疱症は、まず、小さな水疱ができるところからはじまり、かゆみを伴うことが多々あります。水疱から徐々に膿疱に変化し、しばらくすると乾いてかさぶたのようになり、めくれ上がってはがれ落ちます。周辺部位の皮膚が赤くなり、角質が厚くかたくなってひび割れたりすると痛みを伴うこともあります。

手足以外にも、爪やその他の体の皮膚表面(頭やおしり、ひじ下、ひざ下など)にも症状があらわれることがあります。ほかにも、骨や関節などにも炎症があらわれることがあります(掌蹠膿疱症性骨関節炎⇒「掌蹠膿疱症の合併症」参照)。

掌蹠膿疱症は、原因が明らかにされていませんが、扁桃炎や歯周炎などの炎症性の病気や下痢、喫煙などのような悪化因子が影響を与えていると考えられています。治療を進めるにあたっては、これらの因子を調べていくことが大切で、悪化因子を取り除くことが最も重要とされています。また、対症療法として飲み薬や塗り薬、光線療法、生物学的製剤(スキリージ®など)による治療があります。

掌蹠膿疱症の合併症

掌蹠膿疱症の合併症には、炎症が骨や関節などに発症し、骨の痛みや関節痛を引き起こす、掌蹠膿疱症性骨関節炎があります。鎖骨や胸骨とその周辺部位にみられることが多く、ほかにも首や背中、腰などの骨にもみられます。しばしば激痛を伴います。また、関節の症状は皮膚症状よりも先にあらわれることがあります。
その他の合併症として、下痢や便秘、糖尿病、自己免疫性甲状腺炎、脂質異常症、高血圧、喘息、精神科疾患などが合併する場合があり、ほかの診療科と連携して治療を進めることがあります。